人気ブログランキング | 話題のタグを見る

RUKAの雑記ノート(現在休止中)

rukachas.exblog.jp
ブログトップ

ホログラムを登る男をホロホロ聴く男

ホログラムを登る男をホロホロ聴く男_c0039181_1565355.jpgそれまでの曲とは雰囲気がガラリと変わり、多少の戸惑いもあった前作のアルバム「現象の花の秘密」
あれから3年が経ち、久々に平沢さんの新しいソロアルバムが発売された。
タイトルは「ホログラムを登る男」

オフィシャルサイトで購入した人の中には1週間も前に手にした人もいたらしいが、私はAmazonで予約したので発売日である18日に配達された。
まずは封を開け、CDを取り出してPCでリッピング。無圧縮のAIFFと標準レートのAACの両方で保存した。
そしてブックレットに掲載された歌詞をテキストに起こし、現物は他のCDとともに大切に保管。

所有することに価値を感じるCDはそうあるもんじゃあない。(CDそのものの価値ではなく所有の価値)
いくら美味しい料理でも器がなければ樣にならないし、たとえ同じ味でも(同じデータでも)テーブル直置きで満足してしまったらその程度の料理ということになる。

・・・と、毎度のことながら平沢さんのCDを買うたびにそう思うわけだが、じつは今回のアルバムはコンセプトがあまり伝わって来ないまま買ってしまったというのが正直なところ。
ホログラムとは人工的に作り出した三次元像のことだし、平沢さんお得意の「擬似」「似非」「仮想」のイメージであることはなんとなく想像できるが、何故「登る」なのか?
それはこれから聴き続けるうちに自然と理解していくだろう。

ソロ13作目となるこのアルバムを聴いた第一印象としては、今回はメロディアスで優しい雰囲気の曲が多いなということ。
かつての破天荒なヒラサワ節に戻りつつも、どこか丸くなったというか、まろやかになった印象があり、間口がさらに広がったようにも感じた。

とはいえ、ヒラサワ曲特有の縦横無尽な変態音階は相変わらずで、まるで映画や舞台の場面転換のような、劇的に変化する曲調にもハッとさせられ、ニヤッとさせられた。


YouTubeより
「ホログラムを登る男」 ダイジェスト・ムービー (オフィシャル)

1曲目の「アディオス」は軽快な行進曲風。
これから何かが始まりそうなワクワクした気分ながらもちょっと足がもつれているような不思議な感覚。
罵詈と喝采の中、順風で多難なイリュージョンがアディオス(さよなら)の声とともに始まった。

2曲目の「アヴァター・アローン」で、いきなり多難がやってきた。「ただ生き延びよ」の言葉が重く伸し掛かる。
歌い出しの部分が核Pの「Alarm」の歌い出しと似ているように感じたが、メロディはまるで違った。

3曲目の「異種を誇る「時」」は、しっとりとしたバラード。
平沢さんの美しい歌声に浸れる森林浴的な曲。サビの部分の曲調の変化にハッとさせられる。

4曲目の「MURAMASA」は、最近のヒラサワ曲では珍しい和風なタイトル。
当然、妖刀村正のことだと思うが、日本語の美しさに心底酔える歌詞がお見事!

5曲目の「Wi-SiWi」は、ちょっと不穏で怪しい曲。古いモノクロの映画フィルムのような印象。
これは「我幸い」と掛けているんだろうか?

6曲目の「回路OFF 回路ON」は、飛び交う音階とカタカナ混じりの歌詞が心地よい変な曲。
だがハッピーな歌ではない。なにしろ地球の大惨事にレスキューのロープをバイトが引いているくらいだから。(^^;)

7曲目の「クオリア塔」は、大惨事後の退廃を描いているのだろうか。
悲しいほどに美しいメロディ。染み入るような歌声。これは心に残る名曲。

8曲目の「火事場のサリー」は、危うさを秘めた愛の歌。音符が躁鬱病になっているようなサビが面白い。
「愛」と「キミ」の意味が、今までのヒラサワ曲とはちょっと違うのかな?

9曲目の「ホログラムを登る男」は、オフィシャルで無料配信しているタイトルソング。

10曲目の「鉄切り歌(鉄山を登る男)」は、おそらく久々に登場した三拍子曲。
庭師KINGほどの力強さはないが、優しさを振りまいて足取り軽く天へと登っていくような雰囲気。

11曲目の「クオリア塔(HG-G version)」は、7曲目のクオリア塔の別バージョン。

今回のアルバム「ホログラムを登る男」は、私にとっては歴代ベスト5に入る傑作だった。
グングンと気分が高揚するような曲は少なかったが、今回はとにかくどの曲もメロディが美しすぎる!
そして遊び心満載の曲調と、日本人であることに喜びを感じる奥深い歌詞。

今回も2009年に書いた「点呼する惑星」を買った時の記事と同じセリフで締めたいと思う。

これぞ王様が聴く神の曲!
捨て曲無しのハズレ無し! 影響力において比類無し!
聴かぬ者には福は無し!!!
by rukachas | 2015-11-20 12:03 | 音楽の話