悲しみには、覆いかぶさってくる悲しみと、締めつけてくる悲しみがある。
昨日紹介した5位と4位は、覆いかぶさってくる悲しみだ。圧迫感というか抑圧感というか...。
だが次の3作品は、まさに締めつけてくる悲しみ。主人公の辛さが痛いほどに心に突き刺さってくる。涙があふれ、胸の奥がギリギリと痛み、下っ腹のあたりにドーンとした重苦しさを感じる。映画を見ながら何度「痛たたたっ!」と胸を押さえたことか。(他人が見たら具合が悪いのかと思うかもね)
べつに意識したわけではないが、上位3作品はどれも子供が主役の映画になった。やはり私の場合、子供が辛い思いをしているのが一番辛い。(×_×)
★個人的第3位
【A.I.】2001年/アメリカ
1月12日にも書いたが、スティーブン・スピルバーグ監督のA.I.が最近では最も泣いてしまった映画だ。
アンドロイドのデイビッド役を演じるハーレイ君の、とても演技とは思えないほどの悲しみの表情と、見ている者にこの子の心情を悟らせる、スピルバーグならではの心理的演出が見事。
モチーフとなっているのは「ピノキオ」だろう。最後の最後まで人間の子になりたいと願い続けたデイビッド。人間の子になればママに愛してもらえる、そう思ったからだ。ピノキオは最後には人間になれたが、デイビッドの運命は過酷だった。見ようによってはハッピーエンドにもバッドエンドにも思えるラストシーンが、この子の複雑な運命を物語っている。
この映画を見て感動するかどうかは、この子に感情移入できるか否かにかかっていると思うが、女性よりも男性のほうが理解しやすいのではないだろうか。私にとってはあまりにも悲しすぎるスピルバーグ作品だった。(TдT)
★個人的第2位
【火垂るの墓】1988年/スタジオジブリ
もうこれは説明するまでもない、言わずと知れた日本アニメの大名作。戦争の被災地を舞台にした幼い兄妹の話、というだけで悲しみが湧いてくる。
巨匠 高畑勲氏の見事なまでの人物描写。節子の声を演じた5歳の女の子の名声優ぶり。さくま式ドロップ、おはじき、防空壕など、キャラクター並に強い存在感を見せるモノたち。そして要所要所で流れる心にしみるメロディ・・・。悲しみを通り越して、もはや鑑賞に苦痛さえ感じる映画だ。
兄の清田が14歳で妹の節子が4歳。私にも9歳半違いの妹がいるので、妹のために一生懸命つくす清田にはもう感情移入しまくり。しかもこの節子ちゃん、私の妹が幼い頃にそっくりなのだ。
母親が亡くなったとき、しゃがみ込んで泣く節子の横で清太が黙々と鉄棒をし続けるシーンがあるが、私はそこから最後まで涙が止まらなかった。悲しいシーンでなくても、常に涙が流れていた。それは、戦争という過酷な状況下での、この子たちのあまりにも無邪気な(言ってみれば要領の悪い)生き方に、切なさ、やるせなさを感じていたからかもしれない。(TдT)
★個人的第1位
【禁じられた遊び】1951年/フランス
結局1位も戦争映画、それも在り来たりなものになってしまったが、これを置いて他には語れないだろう。ナルシソ・イエペスの名曲が心に残る、悲劇映画の世界的名作。
空襲で両親を失った5歳の少女ポーレットが、ミシェルという少年と出会い、彼の家で暮らすことになる。そこで憶えたお墓造りの遊び。しかしそれもつかの間の安らぎだった・・・。
描かれているのはフランスの片田舎での日常。ただ、戦時下であることと、ポーレットが孤児であることが悲しい別れを生む。戦争によって運命を翻弄される幼い子の、あまりにも悲しい物語。
この映画は私が産まれる前の作品なので、小学生の頃にテレビで見たのが最初だった。子供心にも可哀想で泣きながら見た記憶があるが、ストーリーそのものはあまり理解していなかったようだ。
2度目に見たのは15歳の時。今度はビデオに録画してジックリと見た。そして見た後、数日間は魂が抜けたような状態になった。夜ふとんの中でこの映画を思い出しただけで嗚咽がもれるほどだった。
とくに、ポーレットが孤児院へと連れていかれるとき、ミシェルの名を叫び続けていたポーレットが群衆の中に亡きママを見つけ(むろん人違いだが)、小さく「ママ...」とつぶやいて追いかけていき消えていったシーンは、私にトラウマのようなショックを与えた。
1980年の「ラ・ブーム」という映画に出演した30代の女性が、このポーレット役を演じたブリジット・フォッセイだと知った時、ホッと安堵感のようなものが湧き上がったことを憶えている。こんなにも長期に渡り登場人物の安否が気になった映画は他にはない。役者なんだと分かってはいても・・・。(TдT)
・・・以上、「私が泣いてしまった映画 ベスト5」でした。
泣いた映画で「火垂るの墓」と「禁じられた遊び」じゃ、当たり前すぎたかなぁ。( ̄‐ ̄*)
これはあくまでも「もっとも泣いた映画」ね。感動した映画となると、また違ってくるよ。
追記
もしあなたが子供好きな人だったら、
「The Light of Smile 笑顔の灯り」も見てくれるとウレシ。