
昨今の防犯意識の高まりを受け、各都道府県では街で起こった事件や注意が必要な事案をメールマガジン等で配信している。
各地域のどこでどんな事件、または不審な出来事があったかを知らせてくれるサービスだ。
私は地元の埼玉県警が配信しているメール「犯罪情報官NEWS」を受信して読んでいるが、その中の子供に関する記事のいくつかは自分のTwitterでも引用し、フォロワーに紹介している。
地元の人には、発生場所が近所であった場合は注意してほしいし、それ以外の人にも内容を知ることで防犯意識を高めてほしいからだ。
埼玉県警からの情報だけでも、子供が被害に遭う事案は毎日数多く報告されている。
一県だけでこうなんだから、全国では数え切れないほどの不審者がそれこそ分単位で発生していることになる。それだけこの日本に子供の敵が増えたということか。
事案の内容をよく読んでみると「これはべつに問題ないだろう...」と思うようなものもたまに見受けられるが(児童に道を訊く60歳代の男が出没...などの内容)、9割以上の事案は実際の犯罪に繋がりそうなものであり、通学路における児童の安全確保を真剣に考えさせられる。
突然殴られた、卑猥なことを言われた、車に乗るように言われた(誘拐未遂?)、体を触られた、勝手に写真を撮られた等々、日々起きている事案は様々だ。
私はこの防犯メールで情報を得るまでは、最も発生件数の多い事案は「痴漢」だろうと思っていた。
昔から通学路には「チカンに注意!」と書かれた看板が掲げられていたのだから。
しかし実際の1位は痴漢ではなかった。痴漢事件も決して少なくはないが、最も多く発生しているのは「下半身の露出」であった。なんと不審者情報の3分の2以上を露出の事案が占めている。
つまり露出魔とか露出狂と言われている人間が、1年を通じてあちこちの通学路に出没しているということ。
「○月○日午後○時ごろ、○市○町○丁目にて、女児に対して下半身を露出する男(○~○歳、○色ジャンパー、○色ズボン)が出没しました。お子さんが被害に遭わないために・・・(以下略)」という記事が毎日数件は届く。
「あれ、このメールさっきも来なかったっけ?」と思ってよく見ると、先ほどとは発生場所が違っている。同じような事案が県内で同時多発的に起きているようだ。
メールで配信されなかった事案も含めると相当な数の露出狂が出没していると思われるが、逮捕したという情報は滅多に来ないので、意外と野放しなのかもしれない。(現行犯逮捕が難しいという意味で)
それにしても犯人はいったい何が目的でこんなことをしているのだろう?
子供が慌てて逃げる様子が面白いのだろうか?それともいわゆるサプライズ的な感覚なのだろうか?
たとえば子供にビックリ箱を開けさせたり、怖いものを見せてからかう人がいるが、それと同じく、子供を驚かせることに面白みを感じているのだろうか?
あるいは自分の下半身に妙な自信を持っていて「どうだスゴイだろう!」という自慢の意味で見せているのだろうか?
しかし見せ付けられた子供は悲惨だ。そんなことをされて気分が良いわけはない。
今どきの子供で大人の裸を見たことがない子は稀だと思うが(親とも入浴するので)、そんな子でも道で露出している人に出会えばそりゃあ驚き、逃げるだろう。
だがそれは見たモノに驚いたのではなく、外で露出するような頭のおかしな人の出現に驚いたのだということを犯人は肝に銘じるべきだ。
そうすれば自分が思い込む上下関係が逆転し、妙な優越感などいとも簡単に崩壊する。
そうでなくとも、いずれは自分の人生が崩壊することになるだろう。
街なかで子供に向かって下半身を露出して良いわけがない。
露出が許されるのは人形か彫像くらいなものだ。たとえばミケランジェロの名作「ダビデ像」や世界中で愛されている「小便小僧」は、むしろ隠さないその姿ゆえに人々を魅了しているとも言える。
何故なら人の体や性器そのものに罪はなく、それをどう使うかという意図こそが重要だからだ。
最近どこかの市で、公園に設置されたダビデ像の股間を隠せと言った市民がいたらしいが、その人にとってはあのダビデ像が道端の露出狂に見えるのだろう。
木を見て森を見ず、チンを見て美術史を見ずといったところか。ある意味、通学路の露出狂と同じ意識を持っている人なのかもしれない。
所かまわず露出する露出狂然り、ダビデ像に猥褻感を感じた市民然り・・・人間の身体もずいぶんと安く見られたものだ。
これからの子供たちは、人間としての自分の「姿」に価値を見出し、そのうえで自分の「行為」に責任を持つ大人へと育ってほしい。