
私は9月1日に書いた『子供に何を与えよう Part3(無邪気さを奪わない)』と題したコラムの中で、「子供の品のない発言や行動に関しては、他人に迷惑をかける行為でなければ大目に見よう」ということを述べましたが、驚いたことに本日の読売新聞朝刊に同じテーマの特集記事が載っていました。(写真クリックで拡大)
記事の内容は、私が述べたこととほぼ同じです。子供が「ウンチ」や「オチンチン」などと言ったときは頭ごなしに叱るのではなく、子供の気持ちを探りながら対応すべき、との内容。
この記事に書かれていた対処法の『「お母さんはそんな言葉好きじゃないよ」と諭したりするとよい。「オチンチン」などふざけて言ってきた際は「おしっこに行きたいの?」などさらりとかわすとよい。』という内容には共感しました。特定の言葉を使わないでほしいと親が思うのなら、この対応が非常に有効でしょうね。
世界一の発行部数を誇る新聞紙面で、このような子育て情報が取り上げられることは、正しい子育てを伝えていきたいと思っている者にとって、大変有り難いことです。
しかし記事中、一カ所気になる文章がありました。
『幼児は成長とともに多くの言葉を吸収していく一方、「バカ」「ウンチ」など、"悪い言葉"も口にするようになる。』という文の、「ウンチ」を"悪い言葉"としているところです。
「バカ」「マヌケ」「死ね」などは、たしかに「悪い言葉」です。誹謗、中傷、罵り、差別的な意図による発言など、いわゆる悪口は言わないようしつける必要があります。
しかし「ウンチ」「オシリ」「オチンチン」などは、これはモノの名前であって、悪い言葉ではありません。発言して他人を困らせることが悪いことなのであって、言葉そのものが悪ではないのです。これが悪い言葉だと言うのなら、オムツのCMの「やわらかウンチも大丈夫」というナレーションさえも良くないことになってしまいます。
『うんちっち』という絵本をご存知でしょうか。どんなときにも「うんちっち」としか答えないうさぎの子のお話です。今、全国の幼稚園で、この本の読み聞かせが流行っているそうです。子供たちはウンチやオナラという言葉に目を輝かせて聞き入っています。
「汚い物を表す言葉」と「汚い言葉」、「恥ずかしい物を表す言葉」と「恥ずかしい言葉」などをゴッチャにしてはいけません。それらをひっくるめて「悪い言葉」としてしまうと、下手をすると子供への言葉狩りや、悪影響を取り違えた不毛な教育論にも繋がりかねません。
何が「悪い言葉」で何がそうでないのか、大人たちはそれを把握しておく必要があるでしょう。この基準については、9月1日の『子供に何を与えよう Part3』にて述べているとおりです。