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RUKAの雑記ノート(現在休止中)

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COPY

コピーパソコンやインターネットの普及とともに、音楽や映像関係のニュース記事で「違法コピー」という言葉をよく耳にするようになった。
ネットオークションでソフトのコピーCDを売っていた者を逮捕とか、P2Pで音楽をアップロードしていた者をJASRACが訴えたとか、アメリカの動画アップロードサイトYouTubeが著作権侵害の温床になっているとか、このようなニュースでは違法コピーという言葉がキーワードになっている。

しかし私はこの「違法コピー」という言葉に、ど~も違和感を感じてしまう。いやべつに違法でないと言っているのではなく、言葉そのものに違和感を感じるということ。

文字通りに解釈すれば「違法なコピー行為、または違法なコピー品」ということになるわけだが、個人がするコピーに違法も合法もあるだろうか?
もちろん施してあるプロテクトを解除してのコピーは違法になるが、世間で言われている違法コピーのほとんどはこのことではなく、著作物のコピーを売ったり配布していることに対して言っているわけだ。

ということは、著作権法違反で逮捕された者がどの段階で罪を犯したのか、つまり違法な行為をしたのかというと、決してコピーした段階ではなく、それを売ったり不特定多数に配布・公開した段階で法律的にアウトとなったはず。
ならば「違法コピー」ではなく、「コピー品の違法販売、違法配布、違法公開」と言うべきではないだろうか?違法にコピーしたのではなく、コピーしたものを違法に扱ったという罪なのだから。

誰もが知っているとおり、パソコンは音楽CDを複製することができる。複製とまではいかなくても、圧縮したMP3ファイルなどを作ることもできる。もとのCDが市販されている著作物でも、個人的な用途ならコピーは違法ではない。
また、パソコンを使う上でソフトウェアのバックアップは必要不可欠だが、そのためのコピーも個人使用に限っては違法ではない。

それなのに「違法コピー」という言葉だけが一人歩きし、まるでコピーそのものが違法であるかのような印象を与えている。
たしかにコピーという言葉の印象はあまりヨロシクない。ブランド品の偽者や、他とそっくりな工業製品などは、真似をしたという意味でコピー商品と呼ばれている。

だが我々はコピー技術に多大な恩恵を受けていることも忘れてはならない。市販されているCDもDVDも、正確にはマスターではない。レコード盤と同じように、原盤をプレスして大量のコピーを作り、我々はそれを商品として買っているわけだ。
店に同じCDがたくさん並ぶのは、このような複製技術の恩恵だといえる。

個人的な複製もCD-RやDVD-Rなどにより、簡単におこなえるようになった。私は平沢進さんのCDは、1枚につきCD-R3枚にコピーしている。1枚はラジカセで聴くためのもの。もう1枚はパソコンで再生したりエンコードするときのもの。そしてもう1枚は人に貸すときのもの。
昔、知り合いに平沢さんの「AURORA」というCDを貸したら、見事にキズが付いて返ってきたことがあって、それ以来オリジナルは貸さないようにしている。

このように、記録メディアやハードウェアのメーカーは、我々に個人的なコピーの機会を与えてくれている。
著作権を侵害し違法となるのはコピー行為そのものではなく(プロテクトを外す行為はまた別)、コピーした物をどう扱うかによる。
だがコピー品の違法な販売や違法な配布をすべて「違法コピー」という言葉で語っている昨今の現状には、まるで個人的なコピーさえも悪いことなのだと世間に印象付けたいような、そんな音楽・映画業界の思惑を感じてしまうのだが、どうだろう?
by rukachas | 2006-11-11 00:06 | 言葉の話